思い出 50年前の田植え

田植えの季節です

いまは、田植え機で植えるのが当たり前。

でも、50年前は手植えが普通。

よく、テレビなんかで小学生とかが、地域の田んぼを使わせてもらって
泥んこになりながら楽しそうに植えている場面が出てきます。

ああ、懐かしいなあ。
ちょっと懐かしく、切なくなってきます。

その頃は、みんなが一家総出でやってました。
また、そうでないと全然はかどらないのですから。

どんなに規模の大きな農家でもそうでした。
田んぼに水を順々に引かないといけない都合で、
他の家の田んぼと時期を合わせて済ませてしまう必要があるのです。

だから、ある意味、追われるみたいに取り掛かります。

家内総出でも遅れそうな場所の田んぼでは、親戚も応援に来ます。
そして、一気に済ませ、今度はその親戚の田んぼの応援に行くのです。
当然、朝から夕方までフル稼働になります。

手伝いを受けた家は、昼ご飯と夜ご飯。
それに、朝からやりますから、ちょうど10時ころには中休みで
お腹のたしになるような、間食をだしますが、

子供のころは、それがとても大事な楽しみです。
大人の植えるスピードには到底かなわず、かえって邪魔になるほど。
だから、あぜ道から、苗を放ったり運んだり。
それが子供の役割ですが、
朝の小休憩になると、おやつ代わりになる菓子パンとか、
朝早くに母親が用意したおにぎりとかを、貪るようにぱくつきます。

また、ある時は、「田植え団子」といって、
小麦粉を練って、アンを詰め、かまどのセイロで蒸したものを作っていたりしていました。
蒸しあがったままでは、手にべたつくので、
その対策に、子供の手のひらくらいの大きさの葉っぱを敷いて蒸します。

応援に来る親戚は、父方と母方からすべてくるので、
人数も10人以上です。

だから、団子の量も半端ないんです。

おいしかったなあ・・・!

大人になってから、いろんな美味しいものを食べますが、
あの頃の「田植え団子」の味と同じものは未だに見つけられません。

その後、だいぶたってからです。
田植え機が流行りだしたのは。

たしかに、労力は少なくて済み、
自分の家だけで、終わってしまうし、便利このうえないのですが、
なんだろう?

叔父さん、叔母さん、お爺ちゃん、お祖母ちゃん、それに
いとこのおねえちゃんやお兄ちゃん。

みんなで寄って働いたあの光景。

もう、見ることもないですね。

それが、最初に書いた、「切ない」という言葉の意味なんです。

便利なものが増えるのは歓迎するのですが、
人と人の触れ合いというか、薄くなったような気がして・・

少しセンチメンタルに入ってしまいそうな、この季節です。

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